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第9回 うつ病や適応障害で退職するとき

第9回です。うつ病や適応障害で退職をするときについて書いていきたいと思います。どちらの病気でも、うつ状態になり、気分が落ち込みます。そのようなときに、「とても今の職場ではやっていけない。自分なんていらない存在なんだ。自分がいると迷惑になる。辞めるしかない。」と、退職を考える人が多いです。基本的にはそのようなとき、私は待ったをかけます。その理由を説明していきます。

 

すぐに退職を決断してはいけない理由

 

すぐに退職してはいけません。なぜなら、うつ状態になると、思考がネガティブになり、上記のように、「自分はダメ人間で、職場で迷惑をかけている。辞めるしかない。」と考えがちになるからです。それは真実なのでしょうか?結論から言うと、ほとんどの場合、間違いです。うつの治療をして、ちゃんとよくなった後に考えると、そのようなネガティブな思いは消えていることがほとんどです。実際、私の経験上は、うつ状態ですぐに退職してしまって、うつが治ってから、「今考えると辞める必要なかったのに。本当はいい会社だったのに。」と嘆いている人は複数会ったことがあります。そのような悲劇を防ぐためにも、すぐに退職というのは厳禁です。まずは治療に専念しましょう。

 

それでも退職になる場合、退職がやむを得ない場合 その1

 

しかし、例外のケースももちろんあり、私の方から「それはすぐに退職してもいいのでは?」と伝える場合もあります。そもそも、会社がブラック企業な場合です。具体的に例をあげましょう。例えば、「入職して研修が始まったけど、上司の口調が荒すぎる、あたりが強い。既に研修に来なくなった人もいる」などの場合、先が思いやられますね。もちろん、その会社がブラック企業ではない可能性もなくはないですが、研修でそのような感じの場合、だいたいの場合、本当の勤務になっても、会社の雰囲気は変わらないことが多いです(複数の患者談)。私もある意味、児玉クリニックの経営者なので、経営者の理念はかなり部下まで浸透すると考えています。研修は厳しめに、という理念があるとすれば、それは「厳しめの研修すらついてこれない人はうちの会社には要らない」というメッセージではないでしょうか?そうなると、経営陣も厳しめの人を研修担当に任命しますよね?パワハラする上司も同様です。中には、パワハラで下についた部下がどんどん休職したり退職したりする上司がいます。しかし、その上司を昇進させる決定をした、もっと上の立場の上司がいるはずなのです。更に、その上司の上司を昇格させた人物もいるはず。つまりは、突き詰めて極論すると、会社で起きていることは全て社長の責任なのです。なので、私はパワハラを受けている方には「他の部署の上司やそのパワハラ上司の上司に相談しなさい。それでもだめなら、もっとうんと立場が上の人に直接相談しなさい。それでもだめなら、残念ながらその会社はあなたを守る気が無いのではないか」と伝えることが多いです。もちろん、患者様本人が些細な注意を「パワハラだ!」と言っている場合もあり、本当のところは誰にもわからないのですが・・・。

 

その2

 

退職やむなしなケースのその2は、うつ状態がよくなったすっきりした頭で考えたうえで、出した決断の場合です。うつ状態がひどくて、会社に行こうとしても涙が出て、足がすくんでしまい、休職になった人がいるとします。そのような方が、自宅療養し、抗うつ薬を飲み、徐々に改善してきたとしましょう。既に外出もできるようになってきているし、趣味のジョギングも週5日ちゃんとできており、億劫な感じも日常生活で感じることはなくなってきています。このように、もう既に復職OKだろう、と医師側も判断するような状況になってきました。しかし、そのような状況で、私が「そろそろ復職してもよさそうですね」と伝えた時に、患者様が「いろいろ考えた末、退職することにしました。やっぱりあの仕事は私には向いていません。」とおっしゃっている場合、それを「そんなことはない。あなたはあの仕事には向いている」という権利は私にはありません。本人が「治った状態の本来の脳」で考えた結論であれば、それは本人の意思を尊重すべきです。

 

今回は以上になります。再度言いますが、うつ状態になったからといって退職をすぐに考えるのはご法度です!まずは、ちゃんと治療してネガティブモードから脱出しましょう。

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