てんかんについてよくある質問

以下、私が患者様からよくある質問をご紹介します。あくまで、一例ですが、参考にしてみてください。てんかん診療に限らず、医療というのは個別性が高く、患者様の一人一人により、医師の助言や回答は微妙に違ってきます。気になることがあれば、診察時に遠慮なく医師にお尋ねください。

運転はできますか?

道路交通法で決まっています。簡単に言うと、意識を失う発作や、手足や目などの体の一部が勝手に動いてしまう発作は2年止まっている必要があります。他にも例外などが細かく色々決まっていますが、原則は2年発作なしが条件、と覚えておいて差し支えないと思います。なので、例えば、今日(2018年7月3日とする)発作が起きれば、2020年7月3日まで発作がなければ、運転が許可できます。うっかり薬を飲み忘れて2020年7月2日に発作が起こった場合には、2022年7月2日まで運転禁止となりますので、気を付けてください。これから免許を取りたい場合は2年止まっていれば、許可を出せます。また、すでに運転免許を持っている場合は、てんかんの持病を隠して更新したりすると、事故を起こした場合、後からばれると、より罪が重くなりますので、必ず嘘をつかずに申告するということをお願いします。免許の診断書は長く経過を見ている主治医が通常作成します。当院では、初診時からいきなり、免許を許可する診断書を作成することは基本的にありません。

自転車は運転していい?

少なくとも法律では禁止されていないです。運転中に発作がおきて、転倒して怪我をすることもあり、そういう時には自己責任になります。

薬は一生飲むんですか?

てんかんの種類によっても様々です。若年ミオクロニーてんかんというてんかんの場合は、薬をやめると9~10割が再発するといわれているので、一生飲むことを勧めます。一般的な部分てんかんの場合は、最短だと2年、できれば5年発作がなければ、断薬も考慮します。ざっくり言って、薬をやめた後の再発率は3~4割と言われています。ただし、人によって様々で、例えば脳波に異常が強い、MRIで異常所見がある、といった人は再発率が高いことがわかっています。また、その人の都合というのも大きく関わってきます。一般的に、減薬、断薬していく場合には、減薬期間中と、完全に抗てんかん薬をゼロにしてから半年は運転禁止としてもらいます。なので、どうしても仕事や育児の都合で運転しなければならないという人は難しいです。また、人によっては職場にてんかんだと知られたくない、更には配偶者にてんかんを隠しているという方もいますので、そのような場合も断薬は困難でしょう。そういったことを総合判断して、患者と医師で話し合って薬をやめるか決めていくことになります。

今度就職試験なんですが、申告したほうが良いですか?婚約者には言うべきですか?

難しい問題で答えはありません。正直に申告することで、不利になる場合も当然ありえます。だからと言って、完全に隠し通すのも難しいかもしれないし、後から知られるともっと立場が悪くなることも考えられます。個人的には最初から申告し、周囲にも理解を得られたほうがいいとは思いますが、こればかりは本人の判断に任せるしかないと思います。

てんかんと診断されてショックなのですが、原因はありますか?

(頭部MRIで異常がない人の場合)
特に原因なく、大人になってから突然発症することは珍しいことではありません。例えば、将来的にMRIが高性能化すれば、今の医学では解明できていない原因、例えば超微細な脳梗塞がはっきりすることもあるかもしれません。しかし、現在の医学では、原因がわからない人も多くいます。

妊娠は出来ますか?

基本的には可能です。正常の健康な女性から奇形児が生まれてくる確率は約3%と言われていますが、抗てんかん薬を飲んでいると、それが6~10%ぐらいに上がると言われています。逆に言うと、抗てんかん薬を飲みながら正常な赤ちゃんを産んでいる方もたくさんいらっしゃいます。特に影響があるのは、バルプロ酸(デパケン)や多剤併用の場合です。なので、基本的には、妊娠は計画妊娠とし、妊娠を考える場合には主治医に相談してください。薬を変更したり、減薬したりします。ただ、人によっては減薬の途中で、発作が出てけがをすることや、お腹を打って流産することもあります。出来れば、主治医と本人と夫の3人で一度方向性を話し合っておくことが望ましいです。この話はご主人にもしておいてください。

てんかんは遺伝しますか?

遺伝と言っても色々ありますが、例えば、50%とかそのような高い確率で遺伝するのは限られた特殊なてんかんです。一般的なてんかんに関しては、遺伝する確率は低いと言えます。

スポーツは出来ますか?

水泳はあなたがてんかんを持っていると知っている人の監視の下でなら、プールでならいいかと思われますが、危険ではあります。海や川は注意が行き届きにくいのでやめておいたほうがいいでしょう。それ以外は、スカイダイビングや明らかに危険な登山などはやめておいたほうがいいでしょう。逆に言うと、それ以外は野球、サッカーなど基本的には何をしてもOKです。運が悪ければ運動中に発作を起こして大怪我をする場合もありますが、それを言い出すとキリがないです。

入浴は出来ますか?

入浴ですが、当分シャワーにしておいてください。てんかんであった場合、万が一次の発作が入浴中に起こった場合、溺死のリスクがあるからです。てんかんで転んでけがしたり、やけどをしたりする人は時々いらっしゃいますが、死ぬ人はほとんどいません。ただし、不慮の事故で死ぬ人の中では、多くの原因が自宅の風呂での溺死と言われています。何年たったら大丈夫とは言えませんが、とにかく当分は禁止することを強くお勧めします。川や海は底が見えないので、特に危険です。プールや温泉なら、あなたのことを「てんかんをもっていて溺れる危険性がある」、と理解している人と一緒に行って監視していただけるならいいかもしれません。

薬代が高くて・・・

自立支援制度と言って、外来でかかるお金を3割→1割に減らす制度があります。詳しくは、市役所に行って聞いてみてください。市役所などの窓口で「てんかんと診断されているので、自立支援制度を使いたいのですが」と言えば、書類をもらえます。その書類に、自分で書くところと医師が書くところがありますので、書類を預けてくれれば、こちらで記入できるところは記入します。

昨日の薬を飲み忘れました。今日2日分飲んだほうがいいですか?

今日は1日分だけ飲んでください。明日からは処方箋通りに飲んでください。2日分一気に飲むのは危険です。今後は飲み忘れないようにしてください。

今日間違って2日分飲んでしまいました。どうすればいいですか?明日は1日飲まないほうがいいですか?

今、体調悪くなければ、明日からも決められた量を飲んでください。(ただし、ラミクタールの内服初期だけは例外です。発疹のリスクがあるので)大量に飲んだ場合は、調子が悪くなければ様子を見ていいですが、体調が悪い場合には総合病院の救急部に受診してください。

全身けいれんがさっきありました。けいれんは止まっているのですが、意識が戻りません。今すぐ受診したほうがいいですか?
(てんかんと診断されている人の家族からの電話)

普段の発作と変わりなければ、受診しなくて大丈夫です。そのまま様子を見てください。普段と比べて、全く違う発作の場合や、あまりに意識の回復が遅い場合には念のため救急外来を受診してください。頭の病気の場合もあります。次回の外来で発作があったことを主治医に報告してください。
※例外:5分以上発作が止まらない場合は、てんかん重積といって、薬を投与しないとてんかん止まりにくい状態です。直ちに総合病院の救急部や脳外科を受診してください。申し訳ありませんが、当院では、てんかん重積の治療は出来ません。


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