第17回です。今回は、私の考える、当院での通院感覚についての考えを説明します。もちろん、これは医師、病院により、考え方が様々です。唯一の正解はありません。
2週間処方の場合
まずは2週間処方の場合、ほとんどの初診以降の方が当てはまります。まだ、病状は安定とは言えない、診断がまだよくわからない、などの方は2週間おきに受診するように伝えることが多いです。特に休職中の方は2週間おきの受診を徹底しています。治療が始まって、間もないのに、自己都合で来たり来なかったりの方には、定期的に受診するように診察中に注意をすることがあります。例外的に、病状が悪い場合や薬を変えたら副作用が出た場合などは、1週間後の受診を促す場合もあります。
3~4週間処方の場合
治療がうまくいき、病状が改善してきた場合には、処方を3~4週間処方としていきます。必然的に、通院間隔も3~4週間となっていきます。薬を処方していない方も、調子が良くなってくれば、通院間隔を伸ばしていきます。そんなわけで精神疾患が落ち着いている人の通院間隔は4週間が基本です。なかにはベンゾジアゼピン系という薬を出している患者様もいます。一般的にベンゾジアゼピン系の薬は一度に30日しか処方してはいけない、というルールがあり、そのことも4週間処方を基本としている理由になります。
それ以上長い処方の場合
5週間以上の処方をするのは、当院では基本的にてんかんの患者様だけです。28日処方で、発作が起きなかったら、35、42、49・・・と1週間ずつ処方を長くしていくことが多いです。最高でも90日処方としています。これ以上、間隔をあけると、私が患者様の病態を把握しにくくなるからです。余談ですが、当院では、再診時の予約を患者様に自分でウェブでとってもらっています。その際に、「受診したい日の2週間前から予約開始」というルールにしています。なぜ、わざわざそんなことをするかというと、私がてんかんの方をたくさん診ているという特性、さらに、てんかんの方はそれ以外の疾患の方と比べて長期処方しているという特性上、自由な日に予約を取っていい、というシステムにすると、てんかんの方が予約を常に好きな時間に入れられる、という状況になり、不平等が生じるからです。例えば、次回外来が自由に予約できる場合、私が患者の立場として、次回は7月28日に受診したいとしましょう。私がてんかんの患者で、かつ90日処方されている場合、4月28日の受診が終わってすぐに、7月28日の予約が取れることになります。しかし、私がうつ病の患者だとすると、6月28日に受診し、次回の予約を4週間後の7月28日に入れたいと思っても、その時点で、別なてんかんの患者様に来院したい時間が取られてしまっている、という事態が頻発することが考えられます。このような事態により、患者様の不満につながらないように、「予約は2週間前から」というルールにしてもらっています。そして、てんかんの患者様にはこのように伝えるようにしています。「薬があと残り1か月ぐらいになったなあ、と思ったら、予約を取ってください」と。これは、てんかんの薬は途中で切れてしまうと発作が起きて大変なことになってしまうので、てんかんの患者様には「薬が切れる2週間ぐらい前には来院すること」と伝えているためです。薬が切れる日から数えて、その1か月前の日に2週間後の予約を取ると、ちょうど薬が切れる2週間前に受診していただくことになるので、リズムがつかみやすいのですね。文章すると、ややわかりづらいので、診察室でも伝えるようにしています。
今回は以上になります。通院間隔一つとっても、ある意味治療の一環と考えています。多少の前後は仕方ないですが、なるべく、医師と相談したうえで、〇週間おきという受診の約束を守っていただいた方が治療のリズムにつながりやすく、結果として症状が改善しやすいように感じています。